
私の父は8年前、病で倒れ、医師から『2度と歩くことはできない』と告げられました。
その後、老健に入所し毎日リハビリに励んでいた父がある日、『みてて』と突然、自分のベッドの周りを何も掴まらずに歩き始めました。
歩ききった父の嬉しそうな顔。奇跡が起きたと、私も感動で胸がいっぱいになりました。
そのとき“自分(父)の喜びは、人(私)を嬉しい気持ちにさせ、感動させることができるのだ”ということに気付かされました。
それまでの私は、人が喜ぶためなら、自分は二の次でいいという自己犠牲の人間でしたので、
『私も自分が喜ぶことをしたら、人を幸せな気持ちにできたり、感動を与える人間になれるかもしれない。私自身の喜びってなんだろう』と、自分ファーストで考えた瞬間、女優になりたかった夢を思い出し、心が躍りました。
小学生の頃、毎週日曜日の早朝に、ひとりで電車に乗り劇団に通い続け女優を志していました。しかし家庭の事情で続けられなくなり、夢半ばのまま大人になってしまっていました。
夢を思い出させてくれた父に、芝居をしている私の姿を一番に見せたい。
だけど、舞台だと劇場に連れて行くのは身体的に難しいし、テレビには簡単に出られない。
片っぱしからオーディション情報を検索していたところ『ゴールデンエッグ・プロジェクト』(GEP) というページが出てきました。
それは約半年間、現役の映画監督から演技指導を受けられ、参加者で短編映画を撮り、劇場上映された後、ネットでも公開されるというものでした。
当時、父の部屋にはテレビがなかったので、ネットなら見せることができる!そう思い、すぐにオーディションを受けに行きました。
そして翌年の春、パソコンで私のネットシネマデビュー作を父に見せることができました。
その後もGEPに参加し続け、ドラマやCMに出演する頃には、父もテレビで観ることができて、とても喜んでくれました。
GEPは、第一線で活躍中の映画監督、脚本家の先生、プロデューサーの方が直接演技指導をしてくださいます。それだけでなく、撮影現場に呼んでくださることも珍しくありません。
実際にGEPをきっかけに、TVドラマや映画でセリフ有りの役つきで出演されている方もたくさんいらっしゃいます。チャンスを掴める場なのです。
だから私は、ワークショップといえども、毎回がオーディションだと思って挑んでいます。
そしてGEPの中で作品を撮るということも、カメラや照明、スタッフの方の動きなど、演じる以外のことも広く学べますし、出演作品は自分のプロフィール映像になり、誰でもスマホで観ることができます。
またその作品を、審査員の方が観て真剣に評価してくださるGEP授賞式も、参加者にとってはモチベーションのひとつになります。
私の人生を大きく変えてくれたGEP。
これからも学びを続け、人間力を磨き芝居力を深められる俳優に成長していきたいです。
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